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残業代請求における基本中の基本として覚えておきたいのが俗にいう「三六協定」です。
これは労働基準法第36条を指して使われる言葉で、これを踏まえておかないと残業代の正しい把握ができなかったり、請求をしても企業側に有利な形で終わってしまうケースが多いのです。
この三六協定とは簡単に言えば企業が残業や休日労働など法定労働時間を上回って労働させる場合にあらかじめ労働組合と本人に対して書面による協定を締結しておかなければなならない、という規則です。
企業側が労働者を都合のいいように残業や休日出勤させないために制限するものなのです。
しかし一方では「あらかじめ書面で締結さえしておけば残業させても構わない」という企業側に有利な環境を留保させてしまう面もあるのです。
もう少し三六協定に対して詳しく見てみましょう。
まず締結したからといって企業側の都合に合わせて好き勝手に残業や休日出勤をさせてもよいというわけではない点。
決まりでは「1日」「1日を超えて3ヵ月以内の期間」「1年」について延長ができるようになっているのですが、2つ目と3つ目の期間に関しては労働時間を延長できる限界が定められています。
たとえば1年間の場合は360時間まで、これを超えて労働させた場合には三六協定が締結されていた場合でも労働基準法違反となります。
そしてもうひとつ重要なポイントとなるのは「残業代が発生すること」。
協定を締結して残業を認めた場合でも必ず残業代が発生します。
多くの企業ではこの点を守っていないことが多く、労働時間の延長イコールサービス残業ととらえて従業員を働かせているケースが見られます。
当事者間で残業代請求を行う場合、企業側がこの協定を盾にサービス残業を正当化するケースも見られると言います。
協定はあくまで一定の範囲内で残業を認めるものであって、サービス残業を正当化するものではないことをきちんと踏まえておきましょう。
また残業代は手当に含まれていると主張し支払を拒否するケースも見られますが、これも三六協定の基本概念を無視した主張ととらえることができます。
このように、三六協定は本来企業が従業員を好き勝手に働かせないためのブレーキとしての機能を備えているものであるにも関わらず企業側の都合の良い解釈で利用されている面も見られます。
サービス残業ばかりを繰り返している人はまずこの協定の内容と企業の捉え方を確認したうえで残業代請求を行うかどうかを検討してみてはいかがでしょうか。
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