資金繰りに困った場合にとるべき対策9選

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資金繰りに困った場合にとるべき対策9選

はじめに

 

資金繰りが悪化し資金ショートを起こすと、会社は倒産します。資金繰りが悪化したとき、まずはじめに、経営者は何をしなければならないでしょうか?

当ページでは、資金繰りに困ったときに経営者ががとるべき対策について解説していきます。

資金繰り対策を行うのに早すぎるということはありません。遅きに失して倒産の憂き目に遭う事業者が後を絶ちません。当ページをご覧になって資金繰りに関する知識を仕入れて頂き、早め早めの対策を行っていただければと思います。

資金繰り対策

目次(もくじ)

1.簿外資産の確認とそこからの借り入れ

貯蓄性保険や共済に加入している事業者の方も多いと思いますが、それらの簿外資産は多くの場合、掛け金(積立金)の範囲内での借り入れが可能です。

金額は各保険や共済の契約内容次第ですが、概ね、掛け金(積立金)の7割から9割程度です。

例えば、既に500万円ほど掛け金(積立金)が計上されている場合には、事業用に使うことを前提に、350万円・50万円程度の借り入れが可能になります。

この借り入れ自体は解約ではないので、保証やサービスは継続しつつ、借入金はあくまでも借入金なので資金繰りが落ち着けば返済してしまえば元通りです。

加入時期はこのことを知っていたのにすっかり忘れている事業者や、そもそもこの制度自体を知らない方もいらっしゃいますが、資金繰りに困ったら、加入されている保険や共済の担当者にまずは確認をしてみましょう。

2.公的融資申請

公的融資とは、日本政策金融公庫からの融資と、信用保証協会付融資(制度融資)を指します。低金利で長期・固定で借り入れが出来るので、資金繰り的にも非常に有利な融資制度です。

ただ、保険や共済からの借り入れと違って時間がかかるのが公的融資申請のネックなところです。

保険や共済からの借り入れは2,3営業日あればお金が振り込まれますが、公的融資の場合には概ね4週間から6週間はみておきたいものです。

従って、「今月末の支払いができない」といった逼迫した状況の場合には取れる手段ではありません(ただし、既に公庫や保証協会と付き合いがある事業者の場合、短時間で融資実行の可能性もあります)。

資金繰り表から、「3ヶ月後資金ショートしそうだな・・・・」と感じた場合には即、動くことが大切です。

銀行で相手にしてもらえない場合でも公的融資なら可能性がある場合は多いです。

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3.リスケジュール

既に金融機関との付き合いがある場合、返済金額がきつくて資金繰りが悪化しているケースがあります。

そのような場合には金融機関と交渉し、月額返済額を減らす、或いはゼロにする必要があります。

「そんなことできるの?」と思われるかもしれませんが、これは対金融機関で良くある交渉事です。

もちろん、簡単ではありません。やむにやまれぬ事情とはいえ、当初の返済条件を破る行為に他ならないので、キチンとした態度と姿勢で誠実にお願いする必要があります(間違っても喧嘩したり、短気を起こしたりしてはいけません。先方としてはそう簡単にのめないであろう事は当然なのですから)。

キチンとした姿勢というのは何も下手にでろという話ではなく、

  • なぜリスケジュール(条件変更)が必要なのかという現況説明
  • 今後どう再建し、資金繰りを改善させ、返済の正常化に持っていくかの計画

これらを「書面で」説得力をもって説明する必要があるということです。

返済を約束通りにキチンとすることは当然ですが、約束通りに返済できない場合には、必ず「事前に」金融機関に話をしておかねばなりません。

返済できずに滞ってから先方から「どうなっているのですか?」と言われるのと、自ら現況説明と改善策を示した上で「今月は無理です」と言うのでは印象が全然違います。

気持ちの良い話ではないですが、問題から逃げていても何も解決はしません。正面から誠実にぶつかっていけば、何らかの解決策も見えてくることもあります。

一時的にでも毎月50万円の返済が10万円に減れば楽になりませんか?返済がゼロになれば資金繰りは改善できませんか?

切羽詰ってから相談しても遅いので、危険を察知したら迅速に交渉に入ることが肝です。

そして危険を察知するためには、日々の資金繰り表をキチンとつけることが大切です。

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4.社会保険料、税金の分割支払い交渉

社会保険や税金の支払いで資金繰りが悪化している事業者も少なくありません。

これらの支払い延期や分割交渉は金融機関とのリスケジュールより更に厳しいです。

ただ、これらも何もせずに放置しておくと延滞税を乗っけて強制執行となり、資金繰り状況だけではなく、事業や生活の状況さえも悪化させることになります。

金融機関とのリスケジュール同様、簡単な交渉ではありませんが、「事前に」「誠実に」先方と話し合いの場を持つことで、実現可能な着地点(分割支払いなど)に収まることも実際にあるのです。

公的機関だって無い袖振れないのは理解しているのですから。

しかし支払いもしない、連絡もしない、完全に無視という態度をとれば、先方も強硬策に出てくることは当然のことです。当たり前ですが、社会保険と税金はどこまでも追ってきますよ。例え廃業しても追ってきます。

絶対に放置せずに正面からぶつかって解決策を見出しましょう。

また、金融機関の融資制度には「納税準備金」など、税金や社会保険料納付の為の融資も用意されていますので、社会保険事務所や税務署などの官公庁との交渉と共に、それら融資制度の利用も検討してみてください。

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5.支払い先延ばし交渉

支払いを先延ばしにしてくれる取引先があれば、お願いしてみましょう。

ただし、それなりの取引実績や信頼関係の構築出来ている先でなければ、単なる信用不安を誘発するだけになりますので要注意です。

また、重要な仕入先に安易に交渉し商品の納品が拒否されるとなると一気に事業に打撃を受けることになりますので、くれぐれも支払い先延ばし交渉は交渉先を厳選することが必要です。

カード決済が可能なものはカード決済し、支払い期限までの時間を稼ぐことも必要ですし、新規取引先に対しては末締め翌々末払いなどの長めの契約が可能か打診してみましょう。

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6.遊休資産の売却とリースバック

遊休資産がある場合、金額で折り合いがつくのであればさっさと売ってしまって手元現金を豊富にしておきましょう。資産売却を嫌がるオーナーは多いのですが、どちらにしても事業用に活用していないのであれば死に金です。

資金繰りに詰まり、事業が破綻してしまえば結局二束三文で叩き売る羽目になりますので早めの判断が吉と言えます。

また現在進行形で使っている個人や法人の不動産であっても、「リースバック」と言って不動産を売却しながらその不動産をそのまま使い続けるサービスもあります。

個人の住宅ローン支払いが生活、ひいては事業の資金繰りを圧迫している場合や、手元資金を確保して事業用に使いたい場合などに主に利用されるリースバックの活用も資金繰り改善に寄与します。

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7.売掛債権の回収(ファクタリング)

ファクタリングは、売掛債権の譲渡に他なりません。例えば月初に300万円の商品を納品したとしても、末締め翌々末支払いの契約だった場合、実際に300万円の現金が入るのは約3ヶ月後です。

この300万円が多少割引されても今月末に入ってきたら資金繰り的には楽になるはずです。

要は、それを実現するのがファクタリングということです。

ファクタリングは、100万円以上の安定的な売掛金があれば誰でも利用できます。銀行返済の条件変更中(リスケジュール)でも赤字決算、債務超過でも、担保不動産、保証人がなくても利用可能です。

ファクタリングは大別すると以下の2つに分かれます。

  • 2社間ファクタリング→取引先に債権譲渡が知られない代わりに手数料高め
  • 3社間ファクタリング→取引先に債権譲渡が知られるが、手数料低め

大体前者が売掛金の10%~30%であることに対し、後者が売掛金の5%程度ですので、別に取引先に債権譲渡することが知られても構わない状況であれば、3社間ファクタリングを選択した方が良いでしょう。

資金繰りを良くしたい、少しでも入金を速めたいと思うのは事業者なら皆共通の思いです。しかしながら、取引先にだって資金繰りの都合がありますので、突然入金を早めてくれと言われても困ってしまいます。

なんとか協力したいけど、簡単には入金を早められない・・・・そんな協力的な取引先の場合には、ファクタリングを積極活用することで問題解決が可能になるというわけです(手数料はかかりますが、資金繰り改善の為の最低限の必要経費と考えて差し支えないレートと言えるでしょう)。

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8.役員貸付、株主出資(増資)の検討

一人株主、一人役員の会社の場合には自分自身で何とかするしかありませんが、複数役員、或いは既存株主がいる場合には、みんなで協力しながら資金調達をすることも可能になります。

役員が3人いれば、それぞれの個人貯金の中から一人100万円ずつを会社に貸し付ければ会社には300万円入ってくるので資金繰りが改善します。

もちろん役員と会社の関係といえども別人格ですから、会社は借りたお金は役員に返さねばなりません。

ただ、それは会社の資金繰りに余裕が出来た際に返済すれば良いことです。

役員ですからうるさいことは言われませんし、金利もゼロ(若しくはそれに等しいレベル)です。

役員報酬を下げながら相殺し、資金の移動を伴わないままチャラにすることも可能です(例えば月額40万円だった役員報酬を30万円に下げる決議を行い、それでも月額40万円ずつ支給すれば、それは報酬30万円+返済分10万円となりますので、10ヶ月後には役員貸付は0になります)。

また、株主がいる場合には、株主割当による増資の打診をすることもできるでしょうし、外部に応援してくれる人がいるのであれば、第三者割当増資を試みる可能性も出てくるでしょう。

役員貸付と違って、増資は出資ですから返済義務はありません。

既存株主であれ、新規の株主であれ、資金を出してまで応援してくれる方がいれば資金繰りのピンチを乗り切れるチャンスが出てきます。

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9.短期ビジネスローンの活用

ビジネスローンは金利の高さから敬遠されるきらいがあります。

確かに民間金融機関の事業用融資は不動産担保でも付けない限り年利15~18%程度に設定されていることが多いです。これは公的融資が平均3%程度の年利で借り入れできることを思えば、高く感じるでしょう。

しかしながら、「今月末の支払いができなければ倒産の危機」という切羽詰まった状況で、仮に3%台で借りられるとしても融資実行まで4~6週間かかる公的融資を悠長に待っている時間はありません。

また、金利は見た目の数字に惑わされてはいけません。

仮に年利18%だとしても、1ヶ月で返済すれば1.5%です。

500万円を1年借りておけば確かに90万円の金利がかかりますが(実際は元金が減るので金利も若干変わりますが)、今月末の支払いのためだけに必要なのであれば、1ヶ月で返済だって可能でしょう。その場合の金利はわずか75,000円。

この75,000円で今月乗り切れて資金繰りが以後改善していくのなら安いものではないでしょうか?

公的融資ほどの低金利メリットはありませんが、ビジネスローンには最短即日融資というスピード面のメリットがあります。

ピンチが迫っている場合には、感情的に忌み嫌うのではなく、冷静に数字と現実的な時間軸で利用を検討する必要があります。

返済の見通しがないのに借りることは自分の首を絞める行為でもありますし、長期の返済となると金利負担が重くなってきますのでNGです。

ただ、今月や来月の支払いを切り抜ければ、入金の見込みがあり、そこから資金繰りが改善することがわかっているのに、「ビジネスローンはなんとなく嫌だ」という感情論で会社を潰す人はいないでしょう。

すべては利用の仕方次第ということです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?事業経営者にとって資金繰りは永遠の悩みです。資金繰りのせいで夜も安眠できないという方も少なくはないでしょう。

売上が右肩上がりで上がっていけば苦労はないかもしれません。いえ、順調に売上が上がっていく方であっても頭を悩ませられるのが資金繰りなのですから、常日頃からの備えと資金繰り・資金調達の知識を身につけておくことが重要なことなのです。

今回は基本的なことを9つ列挙しましたが、その中からいくつか活用できるものがあり、無事資金繰りが改善すればと思います。

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