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事業が上向きの時には気持ちも強気でイケイケドンドンになりがちです。
売上はもちろん、手元キャッシュも入金であれ、資金調達であれ容易になりますので、すごくお金があるんです。
特に利益が大きいと、「どうせ税金で取られるくらいなら」と、本来差し迫って必要ではない設備投資に資金を投じたり、贅沢や私的なことにまでお金を浪費したりします。
自分では調子に乗っていないつもりでも、人間知らず知らず、脇が甘くなってくるんですよね・・・
それが右肩あがりで続いている間は、問題は露見しません。しかし業績が悪化すると、大きくなってしまった事業経費が一気に逆流してきます。
この恐怖は恐らく味わった人にしかわからないでしょう。
うまくいっている際には「自分は違う」「そんなことは起きない」と思うものですが、事業経営をしていると遅かれ早かれ経験することになります。
問題はその際にいかに対処するか、です。
業績が苦しくなれば、色々な経費を削減し、辛抱するのは当然のことです。
私も一時月商が5,000万円に到達した際には、毎回新幹線はグリーン車だし、ガンガンタクシー移動もしていました。外部への支払い経費や賞与なども、今思えばかなり大盤振る舞いしていたと思います。
それら微々たるものは自分の心構えを変えれば済みます。新幹線は通常の指定席で十分だし(自由席じゃないだけマシ)、飛行機もLCCへ。タクシーなど滅多に使わなくなります。しかしそれらの対策は大切だけでも所詮は微々たる付け焼刃でしかないのです。
事業を大きくしていく過程で膨れ上がるのは、人件費やオフィス代、広告費です。
広告費は売上や利益を見ながら段階的に減らしていけば、ダウンサイジングは難しいものではありません。
問題は後の2つ。人件費とオフィス代です。
オフィスを引き払う場合、契約上3ヶ月〜6ヶ月前の告知義務がある内容になっています。ゆえに、経費が苦しいからいますぐオフィスを移転したい(解約したい)と思っても、半年は高い家賃を払い続ける必要があります。
業績が良かった時は何てことなかった家賃支払いが、業績が急激に悪化する中で、半年も解約したくても解約できないのは、真綿で首を絞められるような苦しさです。
また、あくどい不動産会社やオーナーによっては、法外な原状回復費用を請求してきますので、苦しい状況時に追い打ちをかけることになります。
そうならないためにも、下記ページは必ず独立起業時、事務所契約前に熟読しておいてください。
さて、オフィスは長くとも半年程度で解約にはこぎつけることができますが、それ以上に厄介なのが人件費です。
あなたの会社が派遣やアルバイトだけで回しているなら月単位で解雇し、すぐに削減することも可能でしょう。
しかし正社員は労働法規上かなり手厚く保護されていますので、抱える正社員の数が多い場合、「今月で解雇します」とも「業績が苦しいので解雇します」とも言えません。
それこそ、長—い時間がかかるのです。
会社状況や将来の展望を丁寧に説明し、退職に合意してもらわないといけないのですが、そう簡単に納得できるはずもないでしょう。
すぐに解雇ができないとはいえ、業績悪化でダウンサイジングをしようとしているわけですから、ワークシェアリングの活用で一人当たりの労働時間の短縮=人件費の削減に着手する必要があるでしょう。
また、業績連動等の賞与は当然不支給になるでしょうし、各種手当も削減の対象となっていくでしょう。昇給もなしです。
基本的に労働者に対する一方的で著しい不利益変更は出来ないのですが、業績悪化や事業所閉鎖の場合には認められることもあるのです。経営者の無能が招いたこととはいえ、会社が潰れてしまっては仕方がないわけですから。
これまでの労働条件が悪化すると、そのこと自体に失望したり、会社の未来に希望を抱けなくなったりする社員も出てきて、自ら会社を去る決断をします。
とはいえ、転職期間中は引き続き雇用して給与を払い続けないといけないので、我慢の期間はそれなりに続きます。
詳しい労働法規や解雇の際の規定は顧問社労士にご確認、ご相談頂ければと思いますが、オフィス代以上に、人件費は削減したいと思ってもそう簡単にはいかないのです。
だからこそ、企業は派遣社員を利益調整弁として一定数抱えるわけですね。
このような事態を防ぐには、やはり上り調子の時にいかに慎重に決断していけるかだと思います。
これらをしっかりと把握・認識しておくことが大切でしょう。
また、ダウンサイジングがすぐにできないのであれば、日頃から内部・外部の環境変化に敏感に、事前に危険察知をしなければなりません。
危険察知をしたならばすぐに改革に着手しなければなりません。
ダウンサイジングは思った以上に時間がかかる一方で、業績悪化の逆流の勢いは想像以上の速さですから。
迷っていたり、ましてや「まだ大丈夫だろう」と余裕をかましたり、「また戻るだろう」と希望的楽観を抱いたりしている余裕はないのです。
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