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役員借入金とは、会社が役員から借りているお金です。勘定科目としては、「短期借入金」とか「未払金」、「代表者勘定」等になっていて、流動負債の部に計上されているはずです。
勘定科目や呼び方はどうあれ、「経営者が会社に貸したお金」に関しては、個人と法人は別人格ですし、取引自体は実存するのならきちんと計上しておくべきでしょう。
多くの中小企業は個人と法人は別人格と言ってもオーナー兼経営者であり、法人も個人も一心同体で、実情としては財布のお金が個人→法人に移転するに過ぎません。会社が儲かった際には一気に返済してもらえれば良いだけです。
しかし、なかなか会社が儲からず、実際役員個人に返済するのもすぐにはままならない場合、いつまでも決算書の負債部分に計上しておくのは、百害あって一利なしです。
融資の際に「負債が多い」「公私混同しているのではないか?」と金融機関からは穿った見方をされますし、仮に事業譲渡や会社を売却する際もこの項目のせいで安値になってしまうからです。
解消できるなら解消しておいた方が、遥かにメリットの大きな勘定科目です。
具体的には以下の3通りです。
一つずつ見ていきましょう。
Debt Equity Swapは、借入金(Debt)を資本( Equity)に振り替える(Swap)ことを言います。実質は増資に該当しますので、登記も必要になります。
参考:DESの詳細解説はこちら
仮に、資本金300万円の会社で、役員借入金が500万円あるとすると、この借入金500万円という負債をキレイに消し、資本金800万円の会社になるということです。
どうですか?ご自身で見ても借金500万円の資本金300万円の会社が、資本金800万円の借金ゼロ会社になるとしたら、随分印象いいなあと思いませんか?
注意点として、DESの結果、資本金が1,000万円を超えてしまうと、法人住民税や消費税の面で税額が増大してしまう可能性があるので、DESするにしても1,000万円未満に留めておく方が良いかもしれません。
関連: 第三者割当増資による資金調達とは? / 株主割当増資による資金調達とは?
株主=経営者のオーナー企業なら、自分自身単体で考えたら損得ないわけですから、いっそ債務免除をした方が良いでしょう。
注意点として債務免除をすると、債務免除益が生じます。
役員借入金が500万円あって、全額の債務を免除した場合、会社からすると、本来返済義務のあった500万円を返済する必要がなくなった(500万円の利益)と見なされ、税金がかかります。
ただ、会社が儲かっておらず、返済できないから免除するわけで、仮に今期の決算状況が500万円の赤字だとすると、債務免除益と相殺で税金はかかりません(所得がないわけですから所得税もかかりませんし、消費税も課税外取引になりますので消費税納税も発生しません)。
また、仮に今期が黒字であっても、繰越欠損金が債務免除益以上あるならば、同様に税金はかからないので、債務免除してしまった方が良いです。
DESのように資本の部へ振り替えられることはありませんが、流動負債の部がスッキリ削減される分、財務体質は大きく改善します。
こちらは上記2つのケースのように負債を一気に消す方法ではありません。時間をかけながら負債から消していく方法になります。
仮に現在、役員借入金が600万円あって、経営者(あなた)の役員報酬が月額80万円だとしましょう。
この場合、まず役員報酬を現在の月額80万円→50万円に減らします。
減額した30万円を補填すべく、会社→あなたへ役員借入金の「返済」として毎月30万円ずつ別に振り込みます。
そうすることにより、あなた個人の手取りを減らすことなく、会社の借金も徐々に(毎月30万円)減っていくことになります。
個人的には役員報酬の引き下げにより社会保険料や税金が大きく下がりますので、手取り自体は逆に増えることでしょう(ただし、当然、将来もらえる年金は減額分減ることになります)。
会社からしても、30万円*20ヶ月かけて負債がキレイになります。特段すぐに負債を消してしまわねばならない理由がなければこの方法も良いでしょう。
ただし、役員報酬は会計年度中の変更が出来ませんので、完済まで20ヶ月にわたる場合は、最低2年(2期)は減額して定めた報酬で固定する必要があります。
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