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【目次】
適格機関投資家とは、一言で言ってしまうと、「プロ」の投資家のことです。
どの世界、業界にもプロとアマが存在しています。
当然、投資の世界でもプロとアマがいるわけです。
金融商品取引法はプロの投資家として指定されている投資家を「適格機関投資家」と呼んでいます(金融商品取引法第2条第3項1号で規定されている「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者」のこと)。
それ以外の投資家が「一般投資家」ということになります(いわゆるアマチュアということですね)。
通常、ファンド業務(※)を行う場合には、金融商品取引法の厳格な登録が必要です。
しかし、一定の要件を満たすことにより、簡易な届出のみで、ファンンド業務を行える業者がいます。
それが、適格機関投資家等特例業者です。
※ファンド業務とは・・・ファンドの運用や飯場勧誘のこと
高額な手数料と手続きのために費やす膨大な時間を必要とする他の金融商品取引業(「第一種金融商品取引業」「第二種金融商品取引業」「投資助言業務」「投資運用業務」)と比較すると、メリットは一目瞭然です。
安価な費用で、手続きに時間がかからない。
これが特例業務届出者の制度を使って運営を行う主なメリットです。
比較的、ファンド規模が小さなものに適しています。
例えば、不動産等の事業投資、海外債券、国内株式、日経225先物。
最近では、悪質な届出業者が販売・運用するファンドによる投資者被害が多発しているという背景から、金融庁・証券取引等監視委員会・財務局等は届出業者に対する取り組みを一層強化することとなりました。
リーマンショック以降、カウンターパーティーの信用リスク、市場流動性リスク、マーケット参加者のレビュテーションリスクが国際的にも問題視され規制当局も規制強化に踏み切った、といったところでしょうか。
平成24年4月1日施工の改正金融商品取引法がスタートし適格機関投資家等特例業務に対する規制は強化されました。
ファンド運営には今まで以上にコンプライアンス(法令遵守)が求められています。
集団投資スキーム持分(ファンド)の出資者に、1名以上の適格機関投資家がおり、適格機関投資家以外の者(一般投資家)が49名以下である場合、適格機関投資家等特例業務に関する特例が適用されます。
特例業務の範囲を超えてファンド事業を行う場合は、募集の場合は第二種金融商品取引業の登録、運用の場合は投資運用業の登録が必要です。
適格機関投資家等特例業務に関する届出書の提出先は、主たる営業所又は事務所を管轄する財務局又は財務事務所です。正本1部、写し1部、の2部準備します。
(主たる営業所が東京都内の場合は、東京財務事務所理財第6課(03-5842-7145))
(主たる営業所が神奈川県内の場合は、横浜財務事務所理財課(045-681-0933))
(主たる営業所が千葉県内の場合は、千葉財務事務所理財課(043-251-7214))
※一般投資家からの出資のめどがついても適格機関投資家からの出資を受けることができなくなった場合は、適格機関投資家等特例業務要件を満たしませんので注意が必要です。1名以上の適格機関投資家からの出資の取り付けが第一のハードルです。
金融庁のホームページ(http://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/tokurei.html)で適格機関投資家等特例業務届出業者リストの閲覧ができます。
適格機関投資家等特例業務届出者に下記の事由による変更等が生じた場合は、財務局又は財務事務所に届け出なければなりません。
※届出は事前に行う必要があります。届出を行うときに最近では金融庁から質問されることが多くなってきています。
適格機関投資家等特例業務は金融庁への「届出」のため基本的に拒否されるようなことはありませんが、最低限の質問に対する準備はしておいたほうが無難でしょう。
※特例届出者は、重要事項について説明を要しない旨の顧客の意思の表明(金融商品販売法第3条第7項第2号)がある場合を除いて、すべての一般投資家に一定の重要事項を説明しなければなりません。
特例業務届出者は、募集と運用を第二種金融商品取引業、投資運用業の資格を持つ金融商品取引業者に依頼できます。
募集のみ第二種金融商品取引業者に依頼し、運用は自社(特例業務届出者)で行うことも可能です。
最近では、悪質な届出業者が販売・運用するファンドによる投資者被害が多いということから、金融庁、証券取引等監視委員会、財務局等は届出業者に対する取り組みを強化することとなりました。
主な被害事例としては、「適格機関投資家(プロの投資家)の出資が行われていない」「50名以上の一般投資家から出資を集めている」「出資金を運用資産以外に流用している」「無登録業者に対して販売・運用の業務委託をしている」など。
このように悪質な届出業者に対しては厳正に対処することを宣言してます。
適格機関投資家等特例業務届出者で一定の募集方法を行っている場合は、特定商取引法を遵守した書面を交付しなければなりません。
業務内容によっては、特定商取引法の規制対象になりクーリングオフの適用対象となります。具体的には、電話勧誘やアポイントメントセールス、訪問販売なで募集行為を行った場合などです。
適格機関投資家等特例業務届出者は、金融商品取引業者ではありませんので、原則として金融商品取引法の規定は原則として適用されません。
37条の「広告等規制」、37条の3の「契約締結前交付書面の交付義務」などの規制も適用されないのです。
ただし、38条の「虚偽告知の禁止」、39条の「損失補填等の禁止」は例外的に適用されます。取引の公正性を保つための規制として適用されています。
適格機関投資家等特例業務届出者は、以下の事項に注意しましょう。
連日のようにメディアに報道されるファンドがらみの不祥事。
適格機関投資家等特例業務は、届出のみでファンドが作れるからこそ、法令遵守(コンプライアンス)が問われます。知らず知らずのうちに法令違反をしていないか、絶えず確認することが重要です。
適格機関投資家等特例業務の届出をしているファンド管理者はモニタリング調査票を提出しなければなりません。
提出は電子申請になります。
(初めて申請するときにIDを発行してもらいましょう)
出資対象事業持分を取得する適格機関投資家や出資対象事業持分を有する適格機関投資家が実体のない投資事業有限責任組合や、金融商品取引法上必要とされる手続きを行わずに組成した投資事業有限責任組合などになっていないか、というところがポイントです。
また、出資適格機関投資家が、例えば適格機関投資家等特例業者、ほとんど実体のない業者に対する対価として報酬を受け取ること等によって、実際には適格機関投資家として取得又は保有していないと評価しうるような状況になっていないか、もポイントに挙げられます。
届出を行わないと公表等のペナルティもありますので注意が必要です。
内閣総理大臣には、検査権があります。(法63条8項)
特例業務届出者の業務に係る状況を確認するために特に必要があると認めるときは、職員に当該特例業務届出者または当該特例業務届出者から業務の委託を受けた営業所、事務所その他の施設に立ち入らせ、質問または当該特例業務届出者の書類その他の検査をさせることができます。
また、内閣総理大臣は特例業務届出者が適格機関投資家等特例業務として開始した自己運用が適格機関投資家等特例業務に該当しなくなった時は、3ヶ月以内の期間を定めて当該特例業務届出者に必要な措置を命ずることができることとなっています。(法63条5項)
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