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「成功するにはベンツを買いなさい」
書店で会社経営コーナーに並んでいそうなタイトルです。
実際に経営者のなかには、高級車を買って疾走する方が多くいらっしゃいます。ターボをかけるときの疾走感と、会社経営の高揚感が似ているのでは、という話も聞いたことがあります。
もちろん、それだけではありません。経営者にとって、会社にて車を購入することは「節税」です。今回は、経営者のための車を使った節税法を、詳しく見ていきましょう。
給料や交際費などは、会社経営において「損金」になります。損金とは会社法上、利益と相殺して法人税を下げるものです。
よく会社の社長が「経費で」というのは、この損金にあたる(これを損金算入といいます)ことで支払いを担っているのですが(単純な見栄の場合もありますが)。
ところが、自動車に関しては、少し傾向が異なります。新車は完成後、すぐに購入しても、経費にはなりません。
新車の場合は、法定耐用年数という「経費となることができる期間」があり、均等に分けて経費となります(定額法の場合)。
たとえば600万円の新車を購入した場合、新車の法定耐用年数は6年。1年に100万円ずつかけて経費となって認められていくのですね。
ここで、新車ではなく「中古車を購入すると節税になる」という考え方があります。
たとえば300万円で新車を買った場合、6年かけるため毎年50万円が経費となるのに対し、同じ300万円で3年落ちの中古車を購入した場合は、耐用年数の3年をかけて毎年100万円が経費となります。
ここには更に細かい価値の算出方法が定められています。
中古資産を購入して経費計上する場合、利用する耐用年数は法定耐用年数ではありません。
原則、自分で見積もった使用可能年数が耐用年数となります。
この「使用可能年数の見積もり」が難しいときは、下記の方法で計算した数字を使用します。
(1)法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数×経過年数の20%を加えた年数 → (法定耐用年数ー経過年数)+(経過年数×20%)
(2)前項(1)の全期間を経過した中古資産は、法定耐用年数の20%
その計算式の結果出てきた数字の1年未満の端数は切り捨てます。また、計算結果が2年未満の場合は2年とする定めがあります。
中古資産の活用はもう一つルールがあります。
中古資産を使用するのに支出した資本的支出の金額がその中古資産の再取得価額(その中古資産と同じ新品のものを取得する場合の取得価額)の50%を超える場合には、中古資産の耐用年数ではなく、法定耐用年数を使用しなければなりません。
では、その計算の基準となる、法定耐用年数の一覧表をここで確認してみましょう。
年式 | 耐用年数 | 定率法の償却率 |
---|---|---|
新車 | 6年 | 0.333 |
1年落ちの中古車 | 5年 | 0.400 |
2年落ちの中古車 | 4年 | 0.500 |
3年落ちの中古車 | 3年 | 0.667 |
4年落ちの中古車 | 2年 | 1.000 |
5年落ちの中古車 | 2年 | 1.000 |
6年落ちの中古車 | 2年 | 1.000 |
7年落ちの中古車 | 2年 | 1.000 |
この表を見ると、4年落ちの中古車から耐用年数が2年と短くなることがわかります。
なお、短い期間で全額経費にできるといっても、月割で計算されるため、決算月に中古車を購入しても1カ月しか経費にできず、残りの11カ月は翌期の経費となってしまうことに注意しなければなりません。
また、これら中古自動車などの資産は「使っていない場合」、経費として認められないことがあります。
本来は運転して走らせるという自動車本来の目的があって、その附帯効果として節税が認められているのですね。本末転倒な使い方にならないようにしなければなりません。
ここまでお伝えしてきて、会社の税務面では新車より中古車の方がお勧めできる旨を理解して頂けたでしょうか。
ただし、いくつもの計算式や特例など、とても複雑なものですね。ひとつ手続きや認識を誤ると、節税効果がまったく適用されなくなることも。
正確な節税効果を実現するためには、費用を惜しまず税理士に依頼することです。
特にこのような節税法は税理士のなかで適用範囲が変わることも多く(税理士に周知される「通達」で適用範囲の変更が行われます)、それこそ年落ちの対策本を使うのはとても危険です。
実際に経営者の方は、この車を使った節税法をしっかりと理解した税理士に会社の会計を依頼し、十分な節税効果を享受するようにしています。
確実な費用計上、そして節税効果を実現できるよう、確実な知識を持った税理士に依頼したいものですね。
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