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株式会社は設立時に株式を発行して、資本金を確保します。設立時点では株式を出資した人を発起人と呼びますが、会社を設立した後は株主として会社のオーナーの一人という立場になります。
日本の中小企業では、筆頭株主が取締役になっているケースが大半です。このため、取締役が引退をするとき、後継者に事業を譲るときに株主も辞めて、経営を引き継ぐ人に株式を譲渡するのが一般的です。
株式譲渡は、株式会社の経営者が変わる大切な手続きです。慎重に進める必要があります。
円満な株式譲渡が行われる場合は、通常、会社関係者・譲渡関係者の間で譲渡に関する事前の根回しがあり、譲渡に関する事前の内諾があるのが普通です。
しかし、そのような円満な譲渡であるがゆえに、かえって将来のトラブルを生んでしまうことにもなりがちです。
中小企業においては関係者の事前の内諾があるがゆえに、
「会議を開催したことにしておこうか」
「とりあえず議事録だけ作っておけばいいか」
このような事態になりがちです。
しかし、法律上の観点から言えば、適正な手続きを踏まずに形式だけの書面を残すような行為は危険です。
友好的に株式の譲渡が行われる場合であっても、後日、関係者の利害関係がどのように変化するのかは全く予測できないからです。
それが会社というものでありビジネスの怖さです。
かつては友好な関係であっても、関係者の利害関係が変化して、敵対的な関係になることなど珍しくありません。
ひとたび敵対的な関係になってしまえば、過去の手続きのちょっとした不備を突いて、
「あのときの譲渡の手続きは無効だ!」等と訴訟を起こされることもあります。
そのような事態を防ぐためには、法律に従って適正に手続きを行い、手続きが行われた記録を適切な書面に残しておくことが何より重要です。
いったん法律上のトラブルが生じたら、「証拠が全て」だからです。
特に中小企業においては、個人的な怨恨をはらすために、会社に関する訴訟が利用されることが珍しくありません。
家族経営の会社だから、友人同士で経営している会社だから、みんな親しい仲だから安心等と、油断してはいけません。
将来のことは誰にも分かりません。
「会社の訴訟」などと言うと、大企業だけの話だと思っている方も多いと思います。
しかし、残念ながら日本社会の現実はそうではありません。
家族経営的な中小企業が大多数を占める日本社会において、株主代表訴訟の多くは中小企業で身内の株主から起こされているという現実から目を背けてはいけません。
▼ 目次
ほとんどの会社では、株式に譲渡制限と呼ばれる制限を付けています。
譲渡制限とは、株式を自由に譲渡できないように制限するもので、会社の承認を得なければ譲渡できないという会社の決まり事です。制限を設けることによって不適切な第三者に株式が渡ったり、会社を乗っ取られたりするのを防いでいるのです。
譲渡制限は定款や登記簿謄本に記載されているので、譲渡制限が付いているかどうかが不明な場合は、株式譲渡の前に確認しておく必要があります。
株式の譲渡を承認する機関は会社によって異なりますが、取締役会を設置している会社の場合は取締役会が、設置していない会社の場合は株主総会が承認を行うのが一般的です。
株式譲渡の手続きは、会社法の規定に基づいて行わなければいけません。まず会社に株式の譲渡を承認してもらうよう請求し、株主総会など会社の承認機関で認められた後、正式な譲渡手続きへ移るという流れになります。
一例として、株式譲渡制限を付けており譲渡承認機関が株主総会となっている会社の場合、どのように株式譲渡の手続きを行うかを見てみましょう。
STEP01
株式の譲渡を希望する株主が、会社に対して株式譲渡を承認するよう請求を行います。
STEP02
それを受けて会社側は臨時株主総会の開催日を決定し、その他の株主へ臨時株主総会の招集通知を出します。
STEP03
臨時株主総会を開催し、株式譲渡を認めるか否認するかを決議します。決議の結果、株式の譲渡が承認されると、
STEP03
株式を譲渡する人に対して、株式譲渡を承認したことを通知します。
STEP03
承認通知を得たら、株式を譲渡する人と譲り受ける人との間で株式譲渡契約を交わします。
STEP03
譲渡が完了すると、譲り受け人又は、譲り受け人と譲渡人が共同で会社に対し、株主名簿を書き換えるよう請求します。
STEP03
会社はこれに応えて、株主名簿を書き換えます。
STEP03
株式を譲り受けた人が会社に対して、株主名簿記載事項証明書を交付するよう請求します。
STEP03
会社はこれに応えて、株式を譲り受けた人に株主名簿記載事項証明書を交付し、株式譲渡は完了です。
誤解されやすい部分なのですが、譲渡制限のついた株式であったとしても、「譲渡ができない」わけではありません。
譲渡制限のついた株式の譲渡であっても、譲渡(売買)の当事者間では有効です。
株券不発行の会社の株式の譲渡は、株式譲渡の意思表示(贈与や売買など)によって効力が生じるからです。
株券不発行の会社の株式の場合は、「あなたに株式を売ります」「私がその株式を買います」という意思表示の合致のみで株式譲渡が当事者間で成立します。
ただし、会社の承認を得ないと、株式の譲渡を受けた人(株式を買い取った人)が、「私が株主です!」と、その会社に認めてもらえないのです。
株式を買い取った後で、株式の買受人が「今回の株式譲渡を認めてください!」「株主名簿に登載してください!」と会社に請求することは法律上できますが、請求したとしても、株式の譲渡が承認される保証はありません。
事前に会社の承認を得てから株式を譲渡しないと、株式を譲り受けた人(株式を買い取った人)が、株主として承認されないリスクがあります。
せっかく株式を買い取っても、自分が株主として認められないようなリスクを抱えて、株式を買い取りたい方は稀であろうと思われます。
株式の譲渡をスムーズに進めるためにも、事前に会社から承認を受けてから株式を譲渡することをお勧めします。
もう一つの方法として、会社の承認が受けられることを停止条件にした譲渡契約も一応は可能です。
この方法は、会社が株式譲渡の承認をする前に、会社の承認が受けられたら契約の効果が発生するという条件付きの譲渡契約を締結することになります。
しかし、事前に会社から承認を受けてから株式を譲渡した方が時系列的には素直な流れであり、法律の専門家ではない方には分かりやすいと思われます。
適正な法手続きや内諾を経て株式譲渡が済んだとしても、事業がスムースに出来なければ何の意味もありません。株式を買い取るに当たって小さくない金額を支出したはずですから、無意味どころか大きな損失につながります。
営業許認可業種の場合には、人的要件が定められている場合が多いので特に注意を要します。
例えば建設業の場合、許可を取得・維持するためには「経営業務管理責任者」や「専任技術者」と呼ばれる、建設業の経営に精通した人材と、常勤の技術的な総括責任者がそれぞれ1名ずつ必要になります(これらの人材を揃えることが出来ずに許可申請を諦めるパターンも多い)。
例えば派遣業の場合には、派遣元責任者という所定の講習を受けた現場の監督責任者が常勤している必要があります。また、派遣業の場合は特に資産要件も厳しいので、譲り受けた会社に2000万円以上の純資産や1500万円以上の自己名義の現金・預貯金がない場合には今現在許可を持っているとしても、5年ごとの更新ができません。
つまり、事業を譲り受ける場合には、受け入れ側(株式譲受人)の方で事業スタートや継続ができる人的・資産的準備を整えた状態で、適正な株式譲渡手続きを行うことが大切なのです。
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